現在開催中の山梨県議会9月定例会、総務常任委員会には日本共産党から菅野幹子県議が委員として臨んでいます。10月8日の委員会審査で、県が進める『富士トラム』構想をめぐって、菅野議員の質問が翌日の地元新聞で紹介されました。~『富士トラム』構想 車両2案 双方向と片側運転想定~。県が現在作成中の富士トラムの基本計画では、路面電車のように双方向運転ができる中国製車両と、双方向運転でない(片側運転の)欧州製車両の2パターンを示すという内容です。菅野県議が県からこの答弁を引き出したことは、重大な内容を含んでいます。*写真は10日に開かれた県議ウォッチャー全大会で県政報告を行なった際のものです。

県は電気バスに比べて「トラムが優位」と宣伝
それまでの『富士山登山鉄道』構想を撤回し、山梨県が示した『富士トラム』構想は、富士山の麓と5合目を結ぶ新交通システムで、来訪者数のコントロールや環境対策のためとして、ゴムタイヤで走る路面電車型の連結車両を想定しています。しかし、県民からは依然として「電気バスでいいじゃないか」という声が多くあり、日本共産党もその立場から県議会で指摘してきました。これに対し県は、昨年(令和7年6月)に2つの『報告書』を発表し、電気バスを含む5つの交通システムを比較。「富士トラムが優位と判断」したと結論づけ、様々な媒体で宣伝してきました。
私は、昨年の県議会6月定例会の総務常任委員会で、県の言うトラムの‶優位性″には疑義があることを、『報告書』の複数の点から指摘しました。(*その内容は昨年8月26日付けで紹介しました。→【富士トラム構想】新たに公表された報告書の問題点~6月県議会での質疑で明らかに | 名取やすし公式ホームページ )
片側運転の車両も検討せざるを得なくなったことは重大
この『報告書』の中では「緊急時対応」の比較について、トラムは「双方向運転により速やかに切り返し可」、バスは「スバルライン上でのUターン困難」と記載しています。昨年の総務委員会でも、県の担当者が「緊急時に狭いスバルライン上で転回ができない。トラムに優位性がある一方、EV(電気)バスはそこが足りないところであります」と答弁していました。しかし、今回の菅野県議の質問で県が双方向運転だけでなく片側運転も検討していることが明らかになり、これまで「優位性」に挙げていたものがまた崩れることになったわけです。

結局「電気バスでいいじゃないか」
県は日中関係の悪化などを理由に中国製車両(ART)の調達が難しくなったとして、今年度欧州の3社の車両も検討しています。しかし、日本共産党の調査ではこの3社はいずれも電気バスの連接車両を提供するメーカーで、路面電車のような車両は製造していません。県は当初、この3社に双方向運転を含む路面電車型の車両の製造を要請していく計画でしたが、片側運転も想定せざるを得なくなった背景には、欧州の3社に県の要請が受け入れられなかった可能性があります。そして、片側運転となれば、いよいよ「電気バスでいいじゃないか」「結局、電気バスじゃないか」と言われてもしかたありません。
実現の目途のない不確定なものに、税金を投じることは問題
県はこれまで、『富士山登山鉄道』『富士トラム』の検討費用に3億7千万円余(予算時点の金額を含む)を費やしていしてきました。それ以外に、広報誌やホームページでトラムありきの宣伝を繰り返してきました。ちなみに、県のホームページの『富士トラム特設サイト』では、未だに「両側に運転台があり、非常時はUターンせずに速やかに安全な場所まで移動可能」と記載されています。検討費用も広報費用もすべて県民の税金からです。実現の目途のない不確定なものに、税金を投じることは問題です。日本共産党はこれらの予算には問題点を指摘し反対してきました。県の姿勢とともに、その予算を認めてきた県議会の会派や県議の姿勢も問われています。


