昨年から今年にかけて、リニア中央新幹線建設工事に伴う発生土の仮置き場から環境基準値を超えるヒ素やセレンが検出された問題で、早川町内の仮置き場の管理状況を視察し、県の大気水質保全課から説明を受けました。
(下写真:西之宮地区仮置き場を見下ろす場所から視察する名取泰、菅野幹子両県議)
リニア中央新幹線建設をすすめるJR東海は、南アルプストンネルの掘削工事の発生土を早川町内に仮置きしています。その際、発生土は日ごとに管理・検査され、環境基準値を超える重金属が検出された場合「区分土」として他の発生土と別に扱うとのことです。「区分土」の管理方法は、底部は遮水シートとアスファルトを敷き、その上に発生土を置いています。仮置き場の周囲には側溝を敷設して発生土に降った雨水を一カ所に集め、その水をタンクに貯めて水質検査を行ない、処理業者に依頼して処理することになっています。また、区分土を通った水が底部から浸透していないかを確認するために、仮置き場周辺には観測用井戸を設置しています。
この内、2箇所の仮置き場の観測用井戸の地下水から基準値を超えるヒ素が検出されたことが、昨年4月8日(塩島地区南仮置き場)と今年の2月19日(西之宮地区仮置き場)、JR東海から県に報告があり明らかになりました。山梨県としても、この問題を受けて井戸や河川の水質を調査。いずれも基準値を下回っていたと発表しました。JR東海は原因究明調査を実施中で、今後、結果が報告される予定です。また、JR東海から県への水質調査の結果報告を月1回から、当面は週1回の頻度に変更が図られています。
(写真下:県の大気水質保全課から説明を受けるその後方でも、仮置き場に重機が入り発生土を高く積み上げる作業の様子がうかがえます)
JR東海が独自に発生土の管理と水質の調査を行なうことは当然ですが、今回のように環境基準値を超えた場合に県に報告がある仕組みでは、調査と調査の間で基準値が超えた場合、その状態がしばらく続くことになります。今年1月にはリニア中央新幹線の環境影響評価の中間報告への知事意見でも、調査回数を増やすことを求めていましたが、JR東海の調査の間隔を短くし、常時監視体制にするとともに、県としても常時監視の体制を取ることが必要ではないでしょうか。
今回の視察でも相当の高さまで発生土が積み上げられている状況が確認できました。それが山間地の自然の中に仮置きされていることは、豪雨や地震などが発生して崩れた場合を考えると大変不安になります。また、視察時もそうでしたが発生土を積載した大型ダンプが早川沿いの道路を多数行き来する状況は、沿線世帯の方々にとっては不安要素になっているはずです。
これからも「リニア建設の中止を求めるとともに、その都度発生する問題の解決に取り組む」という姿勢に立って、発生土の管理の問題にも取り組んでいきたいと思います。