７月２９日、『学校給食費無料にしよ～よ！の会』の皆さんの山梨県への要請行動に同行しました。同『会』メンバーの保護者の皆さんが、これまでも繰り返し要請を行なってきたように、「県内に住むすべての小中学生に、学校給食費の無償化を実施してください」というストレートな思いを伝えるとともに、今回は山梨県が自ら掲げる「人口減少危機対策パッケージ」から、給食費無償化に関する項目を削除したことについても抗議し、説明を求めました。（一番下に同パッケージの比較を掲載しています）

県としての支援は「効果が限定的」？！

山梨県は昨年、「人口減少危機対策パッケージ（暫定ブラン）」に、「給食費無償化を実施する市町村への支援検討」を掲げていました。その理由について要請へ回答した担当課長は「当時は効果があると判断していた」と説明。しかし、この１年間で給食費の無償化の動きが広がり、県内の７割を超える市町村で実施されていることを踏まえて、「県がこれから市町村への支援をしても、県内の多くの市町村では現状で保護者の負担が発生していないことから、効果は限定的」と判断して、パッケージから削除したと説明しました。また、給食費無償化は本来、国の責任と財源で行うべきであり、県としても独自に国に対して無償化を要望しているとも説明しました。

県人口の3割を占める地域でまだ無償化になっていない

これに対して、『会』の保護者の皆さんからは「限定的と言われても、まだ無償化になっていない甲府市民としては、毎年１７万円も払っている。県内では０円の家庭もあるわけで納得できない」「まだ実施していない甲府市や甲斐市などは人口が多く、県の人口の３割近くを占める。今の説明では、そこへの対策が限定的ということになるが、おかしいのではないか」「息子が病気になり、この半年間働きに出ることができなかった。生活が急変することもあり給食費の無償化は切実な願い」などの指摘が相次ぎました。

県の説明は論理的に成り立たない

私も次の点を指摘しました。①県が「人口減少危機対策パッケージ」に、「無償化していない市町村への支援検討」と書いていたならば、「すでに多くの市町村で無償化を実施しているので、新たに県が無償化への支援をしても、保護者にとっては効果が限定的」という説明は論理的には成り立つ。しかし、パッケージには「給食費無償化を実施する市町村への支援検討」と書いていたわけだから、無償化実施市町村が増えているもとでは、ますます市町村への支援が求められるはず。「効果が限定的～」との県の説明は論理的に成り立たない。②県も給食費無償化の必要性を認識しているからこそ、国に対して要請をおこなったのではないか。だとしたら県のパッケージから給食費無償化の項目を削除する必要はない。＝しかし、これらに対して、しっかりとした回答はありませんでした。

アンケート調査の結果や署名に示されている

菅野幹子県議も2022年の山梨県のアンケート調査の結果を基にすれば、人口減少の要因の一つとして子育ての経済的負担があることは明らかであり、その対策として給食費無償化は有効な政策であることは、『会』が集めた声や署名に示されていると指摘しました。『会』はすでに4千筆を超える署名を集めて県へ提出しています。

現在、日本共産党南アルプス市委員会が取り組んでいる市民アンケートでも「もう一人子どもを産みたいが、すべてのものが値上がりして生活が大変で躊躇している」「母親1人で４人の子どもを育てていますが、学校給食費の無償化は本当に助かっています」といった声が寄せられています。ここにもそのことが現れているのではないでしょうか。

「結婚するのか、しないのか、子どもを持つのか、持たないのか、こうしたことは一人一人の生き方の選択であり、政治が口をはさむようなことがあってはなりません。しかし、日本で進む少子化傾向の背景には、その一人一人の選択を妨げる社会的障壁を作り出し、放置し続けてきた政治の責任があります。人口減少危機対策というならば、その社会的障壁を取り除くことが必要です。そのために、日本共産党は教育の無償化、非正規雇用と長時間労働の解消、困難を抱える子どもや家族への支援など、抜本的な対策をとることを提案しています」。昨年の9月県議会の一般質問では、こう述べて給食費無償化などを求めました。加えて、県内で給食費が無償のところとそうでないところがあったら、教育の機会均等にも反します。県内の格差を是正する責任が県にはあるはずです。

引き続き、全県での給食費無償化に向けて取り組んでいきます。

下図：山梨県人口減少危機対策パッケージの昨年と今年の比較（山梨県のホームページを基に編集しました）