南アルプス市議の経験を活かし、今度は県政で!

【山中湖畔県有地】裁判費用に既に2億8千万円超を支出。今、何が問題になっているのか

 山梨県が富士急行に貸しつけている山中湖畔の県有地の貸付料をめぐり、山梨県議会2月定例会には、新たに裁判費用として2件の追加補正予算が提案されました。これについて、「県有地の裁判で県が全面敗訴となったのに、また、裁判をするのか」「1つの議会でなぜ続けて裁判費用が出されるのか」という声が聞かれます。県有地を巡り、一体何が起こっているのか、何が問題なのか、県議会の質問で明らかになったことをお伝えします。(下表はこれまでに県が支出した裁判費用の内容です。すでに2億8千万円を超えています。)

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【県有地問題~これまでの経過】

 山中湖畔の県有地について、長崎知事はこれまでの貸付料が低く適正でなく、県有地を借り受けている富士急行側との契約は「違法無効」だと主張。同社に対して県が「適正」とする貸付料との差額総額92億円を求め裁判で争いましたが、それまでの契約内容は有効だとして、2023年8月に控訴審で県側が全面敗訴となりました。

 その後、県は富士急行側に対して貸付料の引き上げを求めましたが折り合いがつかず 県は2024年10月、甲府地裁に民事調停を申し立てました。その中で県は、富士急行側に対して、県有地内の別荘を転貸や新築する際に、それまでの契約書になかった「承諾料」の支払いの義務があることを主張し、富士急行がそれを認めるまでは別荘の転貸や新築の申請を認めず承諾を保留していました。

これに対して富士急行は別荘のオーナーらに影響があるとして、対象となる61区画について甲府地裁に仮処分を申し立て、甲府地裁は今年1月に別荘の転貸などを承諾することを県に命じる仮処分決定を下しました。

 県は3月2日に、県議会に対して、追加の補正予算として、仮処分の『保全異議申立て』のための裁判費用(代理人弁護士への着手金約4700万円他)を提出。3月5日の県議会本会議で賛成多数で可決しました(後述A)。

 その後、富士急行は3月10日、県が別荘の転貸や新築の申請を認めず承諾を保留していたことで損害が発生したとして、約10億円の損害賠償請求の裁判を提訴。県は3月23日の議会最終日に、損害賠償請求に対する『応訴』のための裁判費用(代理人弁護士への着手金約1750万円他)の追加補正予算を提出し、県議会本会議では賛成多数で可決しました(後述B)。日本共産党は以下に示す問題点を指摘し、2つの補正予算に反対しました(下写真は本会議最終日での反対討論の様子 3月23日)。

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【A、仮処分の保全異議申し立てをめぐる問題点】

1、「仮処分の保全異議の申し立て」とは

 長崎知事は2月3日の記者会見で、一旦は仮処分を受け入れる姿勢を示しましたが、3週間後に仮処分の『保全異議』を申し立てる方向へ転換しました。県は方針転換の理由について、これまで県有地問題に関係していない複数の弁護士事務所に相談(セカンドオピニオンを聴取)したところ、「県が主張してきたことに合理性がある」「仮処分決定に対して反論する余地がまだある」などの指摘があり、これを検討した結果、『保全異議』の申し立てを行うことにしたと説明しています。

2、何を争うのかが不明

 県は異議の申し立てで何を求めていくのか。これについて3月3日の土木森林環境委員会で、日本共産党の菅野幹子県議が確認したところ、県の担当課長は「具体的には今後弁護士と相談して決めていく」と答弁。何を主張し争っていくのかが不明です。仮処分の内容が不服で、承諾料の請求が認められるように主張するにしても、すでに調停を行なっているわけですから、その中で解決すればよいのではないでしょうか。新たに異議の申し立てを行なう必要があるかは疑問です。

3、弁護士の変更で更に多額の着手金

 県は今回の異議の申し立てのタイミングで、これまで調停を任せてきた代理人弁護士を変更しました。その理由について長崎知事は、不動産だけでなく契約関係、紛争関係などに、総合的に対応できる代理人弁護士に変更するとことにしたと説明しています。

 そして、変更によって新たに着手金約4700万円が補正予算に計上されました。これまで調停を担ってきた弁護士への着手金は2200万円でしたから、2倍以上になります。また、この異議の申し立てが認められた場合の報酬金は1億6千万円になると答弁がありました。更に多額の税金を費やす内容です。

4、弁護士費用の算定が不明

 着手金の額について、県は『旧日弁連の報酬基準』に沿って算定したと説明します。しかし、前述の委員会で菅野県議が「旧日弁連基準のどの項目に当てはまるのか」と聞くと、「具体的に、基準のどこを用いて計算しているかを申し上げると、重要な要素である経済的利益の金額が導かれる可能性があるので、差し控えさせていただく」と答弁。この「経済的利益」とは、裁判や調停などを通じて県の主張が認められた場合、承諾料や改定後の貸付料収入によって得られる利益のことです。県は「相手方との交渉に影響する」として公表しないという立場です。着手金の算出根拠となる経済的利益も、それを基に計算する『基準』の計算式も明らかにしないのでは、4700万円もの着手金が正当かどうかの判断ができません。

5、県有地問題の解決が更に長引く可能性

 県は仮に保全異議が甲府地裁で認められなかった場合、東京高裁へ『保全抗告』を行なう可能性を否定しません。もし抗告となれば、承諾料についての結論が出るまで更に時間がかかります。県は「調停と保全異議の申し立ては同時に進めるので長引くことにはならない」と説明しますが、果たしてそうでしょうか。

 今回の仮処分の対象となった61件は昨年6月までに申請のあったものですが、その後に申請されたものについても、県が承諾を保留するのであれば、相手方からまた仮処分が申し立てられる可能性があります。県がそのたびに保全異議を申し立てるなら調停自体が長引くことが懸念されます。(そして実際に、3月10日に富士急行から新たに3件の承認を求める仮処分申請が甲府地裁に出されました。)

【B、損害賠償請求への対応をめぐる問題点】

6、契約変更の慣行が守られていない

 仮処分をめぐる係争に続いて、損害賠償請求の係争にも発展したのはなぜでしょうか。その発端となったのが、やはり県有地の承諾料です。

 これまで富士急行との間で、賃貸借契約に基づき長年続けてきた内容を変えて、新たに承諾料の支払い義務を相手方に求めるのは明らかに契約の変更にあたります。契約の変更については、お互いに話し合えばよいことですが、その結論がでるまでは、それまでの内容が継続されることは契約の慣行上当たり前のことです。それを県の側が一方的に承諾の申請を認めず、相手方の事業を滞らせて損失を生じさせることは、取引の慣行に沿わないものであり、相手方との信頼を自ら損なわせるものです。先の裁判所の仮処分命令も、その県の対応を「権利の濫用」と指摘しました。

7、損害賠償請求を避けるチャンスはあった

 県は富士急行から突然損害賠償請求が出されたと説明しています。しかし、県が別荘の新築や改修を認めず保留し続けて来たことで、富士急行や別荘の所有者、新規の契約希望者などに、どのような損失が生じているかは把握できたはずです。実際に、議会最終日の土木森林環境委員会の質疑で、菅野県議が「以前から富士急行側から、このままでは損害賠償請求もあり得るとの考えは示されていたのか」と確認したのに対し、県の担当者も、何度も示されていたことを認めました。それならば、県が先日の甲府地裁の仮処分命令に保全異議の申し立てを行なったことも、損害賠償請求の要因になり得ることは想定できたはずです。県は、損害賠償請求に発展しないように対応すべきでした。

8、新たな弁護士費用は本当に必要か

 応訴に伴う弁護士費用は約1750万円です。それを仮処分保全異議申立てと同じ弁護士事務所に支払うとしています。しかし、先ほど指摘したように、県が仮処分の保全異議申し立てを行なったことが、損害賠償請求の要因になったとすれば、県がセカンドオピニオンを求め、保全異議申し立てを促した弁護士の責任も重大です。

 3月2日の土木森林環境委員会での質疑で、セカンドオピニオンを求めた弁護士は、県が保全異議の申し立ての代理人とした法律事務所に所属していることが明らかにされました。それならば、損害賠償請求に至った責任の一端を同法律事務所が担う意味で、仮処分の保全異議申し立ての着手金の中で、応訴にも対応するべきではないでしょうか。新たに着手金を支出する必要はありません。

【解決のために必要なことは】

 日本共産党は長崎知事が就任する以前から、富士急行への県有地の貸付料については見直しを行ない、適正な価格にするよう契約に基づいて話し合いを行なうことを求めてきました。しかし、長崎知事がそれまでの県の態度を転換し裁判をおこなった際には、県と富士急の間での契約書で決定された貸付料を県が「違法無効」と言っても、それが認められるはずがないと指摘し反対しました。そして、指摘のとおり山梨県が全面敗訴となり、多額の裁判費用も無駄になりました。今回の保全異議の申し立ても、同じ過ちを繰り返すことになりかねません。まずは仮処分を受け入れ、話し合いによって解決する環境を整えることが必要です。

 また、損害賠償請求についても、県が承諾の保留によって損失を与えてきたことが、損害賠償という訴訟に発展したことから、まずは承諾の保留で損失を与えたことについては謝罪すること。そして、承諾料の請求については白紙に戻し、話し合いの条件を整えることこそ求められています。その立場に立てば、問題の解決に向けて、新たな道が開かれるのではないでしょうか。

 着手金などの弁護士費用の算出方法の改善も必要です。日本共産党は以前から旧日弁連基準を基にしていては着手金や成功報酬が高額になることを指摘してきました。特に、今回のように損害賠償請求額が大きくなればなるほど、県の「経済的利益」も大きくなるという考え方も問題です。全国では、旧基準よりも低く抑えるために、独自の内部基準を設けている地方自治体があります。また、顧問弁護士が対応しているところもあります。本県でも、弁護士費用が高額にならないようにする見直しが必要と考えます。

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