8月22日、神奈川県動物愛護センターを日本共産党県議団で視察しました。以前にも山梨県の動物愛護指導センターを視察したことは報告しましたが、今回はさらに先進地の視察を行ない、県内の動物愛護の活動に活かしていくことを目的にしたものです。
(写真下:センター長から説明を受ける左から菅野幹子県議、名取泰県議)
動物を生かすための施設へ
神奈川県動物愛護センターは令和元年に施設をリニューアルし、「動物を処分するための施設」から「生かすための施設」へと新しくスタートしました。神奈川県では、すでに平成26年から犬が、27年から猫が、当所施設で殺処分ゼロになっていましたが、それをさらに発展させるために施設の機能も刷新させたかたちです。動物は飼い主が愛情をもって面倒をみるのが基本です。同時に大切な命を守り生かしていかなければなりません。同センターは主に〔◎動物を生かすための活動として、ケガや病気の治療、しつけ、譲渡の推進。◎動物の保護として、犬・猫等の引き取り、迷い犬の保護、保護動物の管理。◎動物愛護の普及啓発。◎ボランティアとの協働。◎災害時の動物救護の推進。◎動物由来の感染症対策。◎動物取引対策〕に取り組んでいます。施設面ではその活動を支えるために、最新の医療機器を備えた治療室や手術室、猫や犬が安心して過ごせる個室、それを譲渡につなげるための見学スペースの充実が図られていました。また、リニューアルするに伴って、以前の殺処分に使われていた可動式の檻や焼却炉などを撤去しましたが、その歴史を繰り返さないためにとしっかりと写真に記録し、会議室に掲示してあったのが印象的でした。
(写真下:新しい飼い主の元へ譲渡されていった犬や猫の写真が掲示されていました)
職員体制、施設の充実をはかる
施設だけでなく、職員の体制も強化。臨床実績のある獣医師を新たに3名増員し、職員も保護班、指導班、企画班などの体制充実を図ったとのことです。病気やケガをした動物が持ち込まれた際にはセンターの獣医師が対応しますが、重症の場合は提携している動物病院で対応してもらうそうです。譲渡数では、犬と猫を合わせて昨年度山梨県の約1.4倍の実績がありました。施設面の見学スペースは建物を取り囲むバルコニーに沿って配置されており、外から犬や猫の様子を見ることができます。また民間企業の協力も得て、センター内にトリミングや動物と触れ合うスペースが設けられています。視察当日でセンターには猫が約100匹、犬が約40匹保護され、譲渡されるのを待っていました。財源として、「かながわペットのいのち基金」が創設され、ケガや病気の治療、しつけ、避妊去勢手術、譲渡活動、動物愛護の啓発活動などで、重要な役割を果たしていることも紹介されました。
(写真下:見学用の回廊型バルコニー)
山梨県にどういかすか
山梨県のセンターでも近年殺処分がゼロとなり、動物の譲渡が進んでいますが、同時に保護猫ボランティアの皆さんが多くの猫の面倒をみているなど、負担が大きくなっている課題もあることは以前にもお伝えしました。そうした負担を軽減しながら、動物を生かす活動を広げる上で、山梨県でも施設の更なる改善が必要と考えます。例えば猫や犬の収容場所(居場所)を増やすことです。譲渡活動で猫や犬を新しい生活の場へつなげるためには、それまでの期間の居場所が必要です。神奈川県のように収容スペースを増やすことが必要と考えます。加えて、それだけの多くの動物の面倒を看ることができるスタッフの確保・増員も必要です。また、神奈川県のセンターにはボランティアが集い、相談し合える部屋と、寄付のあった餌やペットシートなどを収納し、ボランティアが自由に持ち出せる部屋も確保されていました。ボランティアの皆さんと日ごろから協働を進める上で、こうした施設も必要ではないでしょうか。今回の視察を通して見えてきた課題について更に整理し、県議会でも政策提案していきたいと思います。
(写真下:ボランティアの皆さんが利用できるように用意された物資の保管部屋)