引き取った犬猫は譲渡活動へ
6月14日、山梨県動物愛護指導センターを菅野幹子県議と視察しました。「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」が2019年に改正され、都道府県は動物愛護管理センターを設置すると定められました。山梨県の動物愛護指導センターも昭和53年に全面改装されるなど、様々な変遷を経て現在の法に位置付けられています。また、動物の適正飼養・保管の専門知識をもつ動物愛護管理担当職員を置くと定められていますが、センターの職員10名の内、獣医師2名、技術員2名、会計年度任用職員の内2名がそれに該当するとのことです。
センターでは搬入された犬猫を新しい飼い主に譲渡する活動に取り組んでいます。また、飼育のための知識を伝える適正飼養講習会や、小中学生を対象にした動物愛護教室にも取り組んでいます。今年4月には迷子や譲渡待ちの犬猫の情報をリアルタイムで配信するポータルサイトを開設しました。
基本は飼い主に責任。 飼い主のいない場合の対応は
動物愛護法ではなによりも飼い主の責任で終生飼育することを基本としています。そのため基本的には飼い主がいる動物は引き取れないことになっていますが、飼い主が病気などで動物を飼育できないなどやむをえない理由がある場合は引き取っているとのことです。実際に視察した際にも、飼い主が高齢になり、どうしても飼育できなくなって引き取った猫が数匹いました。
元々飼い主のいない猫が外に捨てられていた場合、その猫を引き取るのかを確認してみました。子猫の場合は引き取った後、ミルクボランティアの協力で、離乳するまで育てていただき、その後譲渡することになりますが、親猫と子猫が一緒の場合、親猫が育てているのに子猫を引き離すことまではしないとして、引き取らない場合もあるとのことでした。また、けがをした犬や猫が外で発見され、センターに運ばれてきた場合、応急措置をしてセンターで過ごした後に譲渡の対象となるとのことでした。
このように動物一匹一匹に対して職員が手をかけてがんばっていることで致死処分数は減ってきていますが、攻撃的な性格がどうしても直らない犬や、感染症で苦しんでいる猫などに安楽死を施すことはあるとのことでした。年々、数は減っているものの致死処分がなくなっていない現状には心が痛みます。
ボランティアの負担が大きくなっている現状も
一方で、保護猫ボランティアの皆さんが5月に県知事あてに要望書を提出しました。その中では、行き場所を失った猫がセンターに持ち込まれる前に、ボランティアが引き取って保護や譲渡をしており、その数はセンターでの譲渡数を上回る規模で、ボランティアの経済的負担や日常生活の犠牲が大きくなっているとしています。重症の猫の治療はセンターで行わないため、高額の治療費をボランティアが負担しているケースもあるとのことです。そして、これらがセンターへの搬入数や、その後の致死処分数が減っている要因でもあるとしています。
ボランティアが求めてきた飼い主のいない猫の不妊・去勢手術費用の助成制度は2020年からスタートしましたが、助成金額で手術費全額を賄えないことや、猫を捕獲して病院に連れていき、その後も保管するなど、まだまだボランティアの皆さんの負担は大きい状況にあります。こうしたことから要望書では、飼い主のいない猫の治療と保護のための施設(シェルター)を設置することなどを求めています。
今回視察した動物愛護指導センターの取り組みは重要なものですが、ボランティアの皆さんにまだ大きな負担が集中している現状もあるもとで、県に対してもその改善に取り組むことを求めていきたいと思います。引き続き、調査も進めていきます。