6月8日、山梨県民主医療機関連合会(山梨民医連)の介護事業所を運営する皆さんが、県知事あてに要望書を提出。菅野幹子県議と一緒に同行しました。
コロナ第8波時 施設内療養が求められ、現場は混乱
要望書では「新型コロナウイルスの第8波の際に、介護施設でクラスター発生が相次ぎ、コロナ陽性者の入院基準が変更されたことで、入院できずに在宅や介護施設で療養が求められた事例が増え」たことを紹介。「生活の場である介護施設は新興感染症などの病気療養を前提とした人員体制になっておらず、陽性者の施設内療養は、利用者の命を守るうえで様々な困難と混乱をもたらし」たと指摘しています。
入所施設の7割でクラスターが発生
山梨民医連ではアンケート調査も実施。回答のあった事業所の内、クラスターを経験した事業所は通所系で47%(15件)、入所系で74%(25件)、訪問系事業所で陽性者の対応をしたのは67%(16件)であったとのことです。
その中では「陽性者も同一フロアーでケアしなければならないため、クラスターが止まらず感染者が多数に及んだ」「嘱託医がいても常駐でない。看護師も1~2名程度の配置で夜勤帯はいないので緊急対応が困難」であったし、「手遅れでお亡くなりになった事例も数件あった」と深刻な状況が綴られています。
また、ケアマネや訪問介護事業者からも「独居高齢者」や「老々世帯」の自宅療養者が感染し、生活が困難になる事例があったことが報告されています。こうした中で働く介護職員からは「自分のせいで感染が広がったらどうしよう」「介護が怖くなった」「仕事を辞めようと思った」など大変な思いが寄せられ、介護職場の人材不足に拍車をかけているといいます。
物価高騰の影響額300万円 「廃業も考えている」
また、アンケートでは物価高騰の影響についても調査。「深刻な影響がある」が21%(19件)、「影響がある」が56%(50件)、影響額が300万円以上と回答した事業所が23%(11件)もあったとのことです。中には「廃業を考えている」との回答も。介護事業所の運営が困難になれば、高齢者も行き場を失うことになりかねません。
行政の施策は現場の状況にマッチしているか
こうした事態に対して行政はどう対応したのかが問われています。山梨県では高齢者施設等への支援事業をいくつか実施してきました。その実績について私が県の担当者に確認したところ、中北地域管内での数字ですが高齢者施設での施設内療養を確保するための「医師派遣」「看護職員派遣」「介護職員派遣」の実績がそれぞれ1施設に留まっています。こうした事業は当面の間継続するそうですが、現場の実態とうまくマッチングできていたのかをよく検証し、次の感染症拡大に備えるべきではないでしょうか。
また、山梨県では6月定例県議会に、医療や介護、福祉の事業所に対して、光熱費高騰対策の支援金を支給する予算案を提出予定ですが、これについて現場の状況に本当にこたえるものにしていく必要があります。県民のくらしの現場と行政の施策との間にギャップが生まれないよう、そのギャップを埋めるために議員として活動しなければならないと思います。