10月4日に行なわれた山梨県議会9月定例会での一般質問の内、教育現場の課題についての質問の要旨を紹介します。(学校給食費の無償化については別途ご報告します)
学校給食のアレルギー対応について
県内3割の自治体で未実施
学校給食における食物アレルギー対応について 県内市町村の状況を調査したところ、グラフのように、まだアレルギー食材の除去食や代替食を提供していない自治体が3割あることがわかりました。こうした所では保護者が献立表からアレルギー食材を判断し、弁当を用意しなければなりません。質問では誰もが安心して一緒に給食を食べられる環境を整えることに県が取り組むように求めました。
教育長からは「安全な学校給食を実施していただきたいという思いは県も持っている」として、「学校の設置者である市町村にアレルギー対応について必要な指導や助言を行っている」「県としても取り組みを進めて参りたい」との考えが示されました。
特別支援学校の教室不足について
教室不足が10年横ばい
全国でも、山梨県でも特別支援学校の教室が足りない現状が続いています。県内の教室不足数をグラフ(下図)にしてみると、この10年ほぼ横ばいで改善がみられていません。教育現場でも「情緒障害を併せ有する生徒や、激しいパニックを有する生徒がクールダウンするための教室がなく、玄関の軒下や渡り廊下で授業をしている」など、深刻な状況があります。
県としてどう解決するのかを質すと「特別教室を普通教室に転用したり、一つの教室を仕切って、二つの教室として使用するなどの対応をしている」との答弁。それでは根本的解決になりません。教室を増やすことや学校を新設することを求めました。
教育長からは、特別支援学校の教育環境の改善のため、県としてはしっかりと研究を行なっていくとの答弁がありました。また学校の新設については「現時点でそこまで必要な状況とは考えていない」との答弁がありました。
教員不足の解消について
今年度も83人不足 正規採用増こそ必要
山梨県は25人学級を小学校高学年まで拡大する少人数学級を推進していますが、一方で教員不足の状況があります。県が発表した数値によると、令和6年の5月時点での教員不足数は県立の小・中・高・特別支援学校で合計83人となっています(左図)。こうした状況を打開するには正規教員の採用を増やすことが必要です。質問では「令和6年度と令和7年度の採用予定数を比較すると、小中学校ともに定数は変わらず、高校は1名少なくなっている。これでは教員不足も解消しない」と指摘し、正規教員の採用数を抜本的に増やすように求めました。
教育長は「退職予定者数や 再任用者数を踏まえながら採用予定者数を定めている」との答弁し、正規教員の採用増に正面から取り組む姿勢を示しませんでした。