南アルプス市議の経験を活かし、今度は県政で!

【学校給食費無償化】山梨県が市町村への支援を「見送り」。富士山登山鉄道構想、知事の政治資金問題等で一般質問

7月10日まで開催されていた山梨県議会6月定例会。3日には日本共産党の菅野幹子県議が一般質問を行ない、続けて私が会派の関連質問を行ないました。その中から「学校給食費無償化」「富士山登山鉄道構想」「知事の政治資金問題」の部分についての質疑を紹介します。

(*質問テーマごとに質疑と答弁が続くように編集しました。*今回取り上げた他に◎ジェンダー平等◎放課後児童クラブ◎医療・介護の充実◎外国人労働者の就労◎県の公募型プロポーザル◎ゴルフ場等造成事業などのテーマで質問しました)

◆学校給食費無償化について

保護者らが無償化求め、4千筆の署名を提出

菅野県議 学校給食費無償化について、5月に『学校給食無料にしよ~よの会』が、全県で学校給食無料化を実現するために、県に対して市町村への支援を行うよう求める要望署名4177筆を提出した。PTAや保育園、子どもの習い事などで、署名を呼びかけるとほとんど断られることがなく、「やっぱり給食費無料はみんなの願いなんだと思った」という実感がうまれている。県は12月議会、2月議会で日本共産党の質問に対して県内市町村や他県の状況などを「調査・検討する」という答弁を繰り返してきたが、未だその内容も結果も示されていない。どのような調査を行い、どのような検討を行っているのか。

教育長 学校給食費無償化について、県では子育てへの多面的支援の検討にあたり、その一つとして県内外の給食の無償化の状況などについて調査をおこなった。この結果、現在県内ではすでに25の市町村において、一部実施をしているところも含め、給食費無償化の施策が行なわれていること。全国的には給食費無償化にかかる市町村への支援を実施している都道府県は限られていること。などがわかった。

県の人口減少対策から給食費無償化の検討を削除!?

菅野県議 知事は、6月の記者会見で「経済的負担の軽減を中心に施策を講じ」るとして「必要な体制整備や調査、必要な対策に関してはできるところからどんどんやっていく」と述べたが、県の「人口減少危機対策パッケージ」から、給食無償化に関わる項目を削除したのはなぜか。

人口減少対策事務局長 県内ではすでに25市町村において、一部実施を含め給食費無償化の施策が行なわれている。この現状から県による給食費無償化の実施については、子育ての負担軽減や人口減少対策の効果は限定的であると判断し、人口減少危機対策パッケージから削除した。

県として給食費支援は見送る!?

菅野県議 「給食無償化を実現してほしい」という県民の要望にこたえないばかりか、具体的な調査・検討内容も一切示さず政策パッケージからも削除する。これは、県民の声を無視する不誠実な対応だと言わざるを得ない。今年度から無償化を実施する、あるいは継続する自治体が増えている。どこも県の支援を期待しているはずだ。県として、給食費無償化を行うべきだ。

教育長 給食費にかかる制度設計は、本来、地域の特性に関わらず国の責任と財源によるものであり、市町村への学校給食費の支援は見送ることとした。

◆富士山登山鉄道構想について

未だに検討結果が示されず

菅野県議 富士スバルラインで4月に発生した雪崩被害の状況から、富士山登山鉄道構想が示す「通年観光」がいかに無謀かが明らかになった。さらに新聞報道によると、スバルラインへの土砂流入について、県富士山保全・観光エコシステム推進統括官は、LRT(次世代型路面電車)は雪崩などの発生時に路面に加え、軌道の復旧が必要となることを踏まえ、「軌道部分の経費は増えることになる」と認めている。この点でも登山鉄道の問題点は明らかだ。県は昨年度、富士山登山鉄道構想事業化検討費を計上したが、どのような検討を行ったのか、中間報告はいつになるのか。中間報告を示さずに、登山鉄道ありきの説明会は不適切だ。

富士山保全・観光エコシステム推進統括官  登山鉄道構想事業化検討会の中間報告については、昨年度の検討会で技術的課題として雨天の時の急こう配や急カーブへの対応の必要性、(県と民間による)上下分離方式が妥当との意見をいただいた。こうした検討結果を含め、住民説開会や意見交換会を行なっている。今後、説明会でいただいた意見を踏まえて方向性をかため、中間報告をおこないたい。

登山鉄道に「固執しない」というなら、電気バスも検討すべき

菅野県議 今年3月の予算委員会で、私の質問に対して「電気バスについては検討しない」と答弁したが、最新の県広報誌では、「現在提案している構想に固執しているわけではない」としている。電気バスについても検討するべきではないか。

統括官 電気バスを活用した交通システムの検討については、スバルラインの現状に照らし、電気バスだけを通行可能とする道路交通法の適用は困難であり、来訪者コントロールを行なうことはできない。このため、富士山のあらたな交通システムとして電気バスはふさわしくないと考える。

菅野県議 富士山登山鉄道構想をめぐっては、地元をはじめ県内外で反対する運動が広がっている。富士山登山鉄道の建設はやめるべきだ。

統括官 登山鉄道構想に対する県民の反対については、富士吉田市が実施したアンケートは、市民からの回答数が極めて少なく、反対多数の状況を表しているとは言えない。また、今年の6月に報道機関がおこなったアンケート調査の結果では構想への反対はわずかであった。先月から開催している意見交換を通じて県民の意見を丁寧にうかがっていく。

未確定の技術を前提にした情報発信は訂正すべき

名取泰県議 富士山登山鉄道構想について関連質問を行なう。構想で計画している、LRTへ、電力を供給する「ワイヤレス給電」システムについては、中間報告の中でどこまで検討されているのか。本当に実現が可能なのか。

統括官 富士山登山鉄道構想におけるワイヤレス給電の検討については、現在行なわれている実験等のデータを集めたところだ。引き続き、本当に実走が可能かどうか検討を進めていく。

名取県議 ワイヤレス給電ができるかどうか、まだ検討中ということだが、そんな未確定の状況なのに、最新の広報で「ワイヤレス給電なので、架線がなく、新たな開発は必要ない」と説明している。これこそ情報のミスリードだ。ワイヤレス給電を前提とした情報発信は訂正すべきだ。

統括官 富士山登山鉄道構想は世界遺産富士山にふさわしい百年先を見据えた構想であり、最新の技術を取り入れていくべきと考えているので、ワイヤレス給電を検討する方向性を改める考えはない。

交通公害による規制~排気ガスによる被害を十分に検討し判断

菅野県議 日本共産党の国会議員事務所を通じて警察庁に確認したところ、富士スバルラインの車両規制については「道路交通法4条に基づき各県の公安委員会が判断するもの」という回答を得ている。同法同条では道路の交通により生ずる大気の汚染などの交通公害を防止するために、交通規制を行なえるとしている。これに基づけば、渋滞対策ではなくても、公安委員会の判断で電気バスの運用と排ガス車規制は可能だということだが、県公安委員会の認識は。

公安委員会委員 道路交通法第4条に基づく車両規制については、同条第1項は道路における危険を防止するため、交通の安全と円滑をはかるため、交通公害その他の道路の交通に起因する公害を防止するために、必要があるときに、県公安委員会は交通規制をすることができると規定している。県公安委員会は自由裁量によって交通規制の内容を決められるものではなく、同法に規定された規制の目的の範囲内で、必要性を判断する。なお、警察庁が御党の国会議員事務所におこなった、回答についても同趣旨である。

名取県議 道路交通法第4条で引用いている同法第2条では、交通公害とは「道路の交通に起因して生ずる大気の汚染」と定めているが、これは車の排気ガスによる大気の汚染も含まれるという理解でよろしいか。

警察本部長 交通公害とは道路交通法第2条第1項第23項で、道路の交通に起因して生じる大気の汚染、騒音、振動の内、内閣府令、環境省令で定めるものによって、人の健康または生活環境にかかる被害が生じることを言うと定めている。この交通公害を理由に交通規制を実施する場合には、排気ガス等による人の健康又は生活環境にかかる被害についてエビデンスや地域住民の合意形成等について、十分な検討を重ねた上で慎重に判断していく必要があると考える。

◆知事の政治資金問題について

派閥の元会計責任者はすべてを認めた。何も隠すことはないはず

菅野県議 6月19日、二階派の元会計責任者の初公判が行われ、パーティー券ノルマを超えて売り上げた分、いわゆるキックバック部分について、「ノルマ分だけ記載すればいいと思った」として、支出収入とも不記載とした事実を認めた。2018年~22年分が該当するとされているが、19年に知事が二階派から「預かった」としている1182万円も二階派の不記載額に含まれているか。      知事は2月議会では、日本共産党の質問に対して、「志帥会の会計責任者の裁判に関わる」ことを理由に答弁しなかったが、その裁判で元会計責任者が起訴内容を全て認めている以上、何も隠す必要はない。現金1182万円を、いつ・どこで・誰が・誰から・どのような名目で受け取ったのか、明確な答弁を求める。 

長崎幸太郎知事 2月の県議会で御党の一般質問にお答えした通り、1182万円に関しては、志帥会のパーティー券の売上の内、ノルマ超過分の一部を取り扱いの方針が未確定のものとして、19年8月に志帥会から受け取ったものである。詳細については、刑事事案に係るため、現時点での答弁は差し控える。

名取県議 明確な答弁がなかったが、知事は、二階派の収支報告書の不記載分の訂正に合わせて、1182万円について自身の政治団体側で修正したということか。

知事 二階派の収支報告書の残高の修正に合わせて、私どもの残高を修正した。

本当は「中抜き」分ではないのか

名取県議 (報道によると)二階派・志帥会の元会計責任者の裁判で明らかになった内容として、二階派側の支出で不記載だったのは、ノルマを超えて集めた分を納めずに手元に留め置いた留保金、いわゆる中抜きした分だということだ。二階派の支出の不記載に合わせて知事の側で1182万円を訂正したということは、これは預り金などではなく、知事の側でノルマ超過分を留め置いた中抜きしたものではないのか。

知事 私どもは、そもそも全額を口座振込によって志帥会に納入している。したがって中抜きというものではない。

名取県議 繰り返しになるが、二階派の支出で不記載になっていたのは中抜き分だ。ノルマ超過分のキックバックについては支出に記載されていたということだ。だから、二階派の不記載額の訂正に合わせて自分の側も訂正したというのであれば、それは中抜き分ということになる。そのどちらでもないということであれば、他のお金という疑惑も生じる。このことについてもう一度知事の認識をうかがう。

知事 中抜きというのは、集めていただいたお金のノルマ分だけ納入し、ノルマ超過分を手元においたという定義だと思うが、私どもの場合は全額、志帥会に納入をしている。2019年の段階の志帥会の支出分を私たちは預り金、先方は預け金という認識だった。そこを先方は19年に遡って、寄付として支出に計上し、残高がその分減るので、それに合わせて私どもも寄付を受けたものとして、残高を増やす修正をしたという形だ。中抜きでは全然ない。

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