山梨県の奨学金返還支援制度が拡充されることになりました。25日から始まる県議会6月定例会に、それに関係する補正予算案が提出されることが議員説明会の中で示されました。
これまでの業種に加え、全産業で中小企業への就職者を対象
山梨県では県内の職場への就職・就労を条件にした医師、看護師、保育士、教員などへの修学資金支援制度(返済免除制度)があります。また、県内の機械電子産業に就職する人への奨学金返済支援制度があります。これらに加えて今回、県内の全業種の企業に就職した人へ奨学金返済支援が拡大されるものです。制度の内容は概ね以下のようになります。
●対象者:県内の全業種の中小企業に就職する高専、大学、大学院、専門学校、短大を卒業した35歳未満の方(定員なし)。県内外のこれらの学校を卒業後に県内企業に就職、及び県外企業にすでに勤めていて、新たに県内企業に転職する方と対象。
●補助内容:在学期間中に借りた日本学生支援機構の奨学金(第1種、第2種)の2分の1、上限120万円を県と就職先の企業で半分ずつ補助。
●補助要件:県内に10年以上勤務かつ居住すること(内8年間で満額支給)。
●開始時期:2025年4月就職者から(実支給は就業2年目となる26年度分から)。
●その他:他の奨学金返済支援制度との併用はできません。
上限120万円の支援額を県と企業で折半
ご覧の通り、奨学金の返済額の半分(上限120万円)を県と就職先の企業で折半するという仕組みですが、そのためには企業側の協力が欠かせません。そのため、今年度は企業に制度の中身を知ってもらい協力をよびかけるための予算となっています。
また、企業からは最大60万円を8年間で協力していただくわけですが、企業は一度に60万円を負担するのではなく、1年間就業していた実態があることを踏まえて、(60万円の場合)毎年7万5千円ずつ負担することになります。県も事業化にあたり、県内企業に聞き取り調査をおこない、それくらいの負担で人材を確保できるのであればと、概ね理解を得られたとしています。なお、企業の負担額は一旦県に寄付する形をとり、それをやはり6月議会で制定予定の基金に積み立てて、県の負担額と一緒に返済にあてる仕組みとのことです。この支援制度を実現できるかどうかは、どれだけ多くの中小企業の皆さんにご協力いただけるかにかかっています。
日本共産党の議会質問が実る
日本共産党では、昨年の県議会9月定例会での一般質問で、「県立大学の入学金廃止、授業料減免枠の拡大、また、誰でも利用できる県独自の返済不要の奨学金支給や返還支援策の拡大」に取り組むことを求めました。その際、県からは「奨学金返済が若者の生活設計において非常に課題となっていることは認識している」「奨学金・住宅ローン等の負担軽減に向けた検討を進めるため、経済的な要因を調査する」「その結果を踏まえ、必要な政策を検討していく」という答弁がありました。今回、その具体化として奨学金返済の負担を軽減対象が拡大したことは一歩前進なわけですが、返済の半分が自己負担になることや、物価高騰で大変な中で中小企業にも負担をお願いすることなど、まだ課題が残ります。それらの負担をさらに軽減できるように、引き続き求めていきたいと思います。また、給付型奨学金の拡充も求めていきたいと思います。
*以下、昨年の山梨県議会9月定例会での日本共産党の一般質問のから、奨学金の問題を取り上げた部分の議事録を紹介します。