今年4月9日に雪崩が発生し通行止めとなった富士スバルライン。山梨県議会土木森林環境委員会による現地調査に委員の一人として参加しましたので、その状況をお伝えします。大きな雪崩被害があったのは2合目と4合目で、今回は4合目の現場を視察しました。雪崩発生時には注意報により通行止めにしていたため人的被害はありませんでした。(本文中の図3枚はいずれも山梨県県土整備部道路整備課の作成した資料を引用させていただきました)
この内、4合目には大沢駐車場があり展望台や売店もありますが、大沢駐車場脇のヘアピンカーブに大量土砂が雪崩と一緒に流下し堆積しました。大沢駐車場から富士山頂を見上げると下の写真でもわかるように山頂側から麓に向かって土砂が樹木をなぎ倒しているのがわかります。その下の写真は堆積した土砂で、視察した時には道路に堆積した土砂は撤去されていました。
大沢駐車場は平成26年にも雪崩により施設が被災しましたが、その後山頂側に導流堤を6基設置したことにより、今回はその内3基が破損したものの、雪崩の方向が逸れ、駐車場の直撃を避けることができました(下図)。県も導流堤を設置した効果があったとしています。導流堤は1基が高さ約10m、幅8m、長さ約28mの巨大なもので、設置には当時7億円程の金額と3年の期間を要したとのことです。それを一瞬で壊すわけですから、いかに雪崩の破壊力が大きいかということです。県は今後も導流堤の設置を含めて雪崩対策を検討していくとしています。なお5月25日からは一方通行が解消し交互通行ができるようになっています。
さて問題は山梨県が計画している富士山登山鉄道構想との兼ね合いです。富士山登山鉄道構想では通年観光を売りにしていますが、冬場から春先にかけての富士山がいかに危険かを、今回のことで再認識する必要があります。また構想では次世代型路面電車(LRT)を導入する計画で、路面からの非接触式給電システム(ワイヤレス給電)を採用するとしていしたが、技術的に難しいと専門部会で意見がでていると報じられています。では代わりに架線式で給電するとなれば、当然電柱や電線が必要になります。そこを雪崩が襲って電柱や架線をなぎ倒したら、それこそ復旧にはより大きな経費と時間がかかるのではないでしょうか。レール内に土砂が堆積したり、レールが破損した場合も、今の自動車道路に比べれたら同じことが言えます。今回の雪崩による被害は富士山登山鉄道構想がいかに無謀かを示しているのではないでしょうか。この点については議会質問で質していきたいと思います。