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富士山登山鉄道に導入が計画される「LRT」について、宇都宮ライトレールを視察

 1月12日、日本共産党山梨県議団で「宇都宮ライトレール(次世代型路面電車=LRT)」について日帰りの視察を行ないました。LRTは富士山登山鉄道構想で、山梨県が導入しようとしている車両です。実際に試乗してどのようなものかを確認するとともに、市の担当者から技術面を中心に説明を受けました。また、日本共産党宇都宮市議団にもご協力いただき、意見交換をさせていただきました。(上の写真は宇都宮ライトレールの横で右から私、菅野幹子県議、日本共産党宇都宮市議団の福田くみ子市議、原ちづる市議)

日本共産党宇都宮市議団はLRTの導入を問題視

 宇都宮市では公共交通ネットワークの一環として30年に渡ってLRTの導入を検討し、昨年8月に開業しました。整備にあたっては行政が軌道施設や車両の整備・保有と維持管理に責任を持ち、「宇都宮ライトレール株式会社」が運送事業者として、それらを借り受けて運行サービスを行なう、いわゆる「公設型上下分離方式」を採用しています。これは富士山登山鉄道構想においても同じ内容が検討されています。

 日本共産党宇都宮市議団はLRTの整備について、①市民の賛否が分かれていた課題にも関わらず、市の自治基本条例で定めている住民投票で市民の意向を確認しなかったこと、②安全性の問題、③事業費が当初の1.5倍になり、設備や車両の減価償却費を見込んでおらず将来負担でも心配、④需要予測が不十分などの理由で反対してきました。LRTを宇都宮市街地に整備するのと、富士山五合目までの山間地に整備するのでは、目的がだいぶ異なってくることから、今回の視察では技術面や安全対策を中心に調査をしました。

試走で脱線事故発生 カーブ連続の富士山ではさらに心配

 宇都宮ライトレールは昨年の開業後、すでに5件の事故が発生しています。いずれも普通自動車との接触事故で、これらは市街地を走行する路面電車特有の問題かもしれません。しかし、注目したのは開業前の試運転時に発生した脱線事故です。脱線は宇都宮駅終点間際のカーブで発生しました。カーブの最小曲線半径は25m、脱線時の車両の速度は13km/hでした。この事故を受けて軌道の調整工事を行なうとともに、カーブ通過時の速度を5km/hに減速する対策をおこなったそうです。ちなみに富士山登山鉄道構想によると、登山鉄道を整備するとしている富士スバルラインの最小曲線半径は27.5mとされています。こうしたカーブが連続し、しかも下り坂では更に荷重がかかります。市街地の平坦な所で発生した脱線事故に比べて、より危険性は増すのではないでしょうか。

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登坂能力、下り坂の制動距離など坂道での安全確保は大丈夫?

 もう一つは坂道への対応についてです。宇都宮ライトレールの軌道の最大傾斜は6.7%(100mで6.7m上がる傾斜)。富士スバルラインの最大傾斜は8%と言われています。実際にライトレールに試乗して2カ所の坂を通過しましたが、いずれもその距離は短くスムーズな印象でした。しかし、富士スバルラインは坂道の連続です。登坂能力は大丈夫なのか、上り坂の途中で止まった後に安全に発車できるのか心配があります。また、ブレーキの制動距離について視察で確認した所、40km/h走行時で約50mが必要になるとのことでした。富士スバルラインの下り坂となれば当然制動距離も伸びると思いますが、この点でも安全確保ができるか問われています。

レールに石が挟まったら… 富士山特有の危険性

 ライトレールの軌道(レール)に石などが入った場合の対策についても質問してみました。これについては、「(ライトレールは)目視により安全に走行することになっており、軌道上に障害物があった場合には、停車した上で障害物を撤去し運行します」との回答をいただきました。市街地の道路上を走行するライトレールの場合、石がゴロゴロしていることはあまりないかもしれませんが、富士山は違います。火山性の柔らかい表層から派生する石が、道路上に転がってくる状況は十分予見されます。これらに対して運転手の目視だけに頼るのか、それで安全が確保できるのか心配です。

 以上、視察で感じた問題点を列挙しましたが、さらに情報を整理し、富士山にLRTを走らせるという登山鉄道構想の問題点を議会でも指摘していきたいと思います。そして、これまでもお伝えしてきているように、富士山の環境対策やオーバーツーリズム対策には、既存の電気バスの活用を拡大することで対応できると考えます。この点についても引き続き提案していきたいと思います。

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